おもな成分からの鉱物のぶんるい

鉱物はその特徴によって細かく分類されています。鉱物の特徴や性質は、化学組成と結晶構造の組み合わせによって決まります。化学組成とは鉱物を構成する元素の化学的な組み合わせがどのようになっているかです。例えば、砂や岩の主成分である金属元素:珪素(Si)が空気中にもある元素:酸素(O)と化学結合した物質が酸化珪素で、その化学的に安定な結合の組み合わせはSiO2の形になります。一方で物質が規則正しく配列した物質の構造を結晶と呼んでおり、酸化珪素という化学組成の物質の結晶が石英(または水晶、英語ではどちらもクオーツquartz)という名称になっています。つぎの表は、鉱物の主な成分の化学組成から鉱物を分類したものです。

化学組成による鉱物の分類(ぶんるい)

主な成分鉱物の分類成分の例
元素鉱物単独の元素からなる、あるいは合金として産する鉱物自然金(Au)、自然銀(Ag)、自然銅(Cu)、石墨(C)、ダイヤモンド(C)
酸化鉱物金属元素と酸素が結合している鉱物石英(SiO2、赤鉄鉱(Fe2O3)、
チタン鉄鉱(FeTiO3
珪酸塩鉱物珪酸塩からなる鉱物橄欖石、輝石、雲母、長石、
黄玉(Al2SiO4(F,OH)2
炭酸塩鉱物炭酸塩からなる鉱物方解石(CaCO3)、苦灰石(CaMg(CO3)2
硫化鉱物金属元素と硫黄が結合している鉱物黄鉄鉱(FeS2)、黄銅鉱(CuFeS2)、
方鉛鉱(PbS)
硫酸塩鉱物硫酸塩からなる鉱物石膏(CaSO4・2H2O)、重晶石(BaSO4)、明礬石(KAl3(SO4)2(OH)6
ハロゲン化鉱物金属元素とハロゲン元素が結合している鉱物岩塩(NaCl)、蛍石(CaF2
硼酸塩鉱物硼酸塩からなる鉱物硼砂(Na2B4O5(OH)4・8H2O)
タングステン酸塩鉱物タングステン酸塩からなる鉱物灰重石(CaWO4)、鉄重石(FeWO4
燐酸塩鉱物燐酸塩からなる鉱物燐灰石(Ca5(PO4)3(F,CL,OH))

宝石さがしの遊び場で発見する天然石は、石英の仲間(石英グループ)です。上の分類では、酸化鉱物の一つであるSiO2が主成分である石英の仲間の天然石がほとんどを占めています。ときどき金属が化学組成に入り込んだ珪酸塩鉱物(黄玉:トパーズ、ハウライト、橄欖石など)が発見できます。ごく稀に、炭酸塩鉱物(方解石:カルサイトなど)が入り込んていることもあるので、この3つに注目して調べてみましょう。

鉱物は地熱で溶けた成分が、地殻変動などで地表近くで固まるときに、その化学組成が規則正しく成長した結晶の形になります。時間をかけてゆっくりと冷やされるときに大きな結晶になり、自然の中の原石ひとかたまりが単結晶の鉱石も発見されます。結晶は化学組成に従って規則正しく元素が配列したもので光を透過し(透明となり)、色は無色あるいは化学組成に(または不純物として)含まれる金属の成分が決める色になります。それぞれの鉱物の結晶の色を確認しておきましょう。

水晶(クオーツ:Quartz)SiO2

<人工>水晶(クオーツ:Quartz)SiO2

crystal

crystal

黄玉(トパーズ:topaz)Al2SiO4(F,OH)2

橄欖石(カンラン石、ペリドット:forsterite)(Mg, Fe)2SiO4

輝石(pyroxene)LiAlSi2O6

雲母(mica)AB2–3(X, Si)4O10(O, F, OH)2

方解石(calcite)CaCO3

苦灰石(dolomite)CaMg(CO3)2

よく似た結晶の見分け方(水晶とトパーズを例に)

化学組成が異なる結晶は、重さ(比重)、結晶の形(結晶構造)、かたさ(硬度)、屈折率などが異なっているので見分けることができます。水晶SiO2とトパーズAl2SiO4(F,OH)2を例に、見分け方を説明してみましょう。
まず比重について、水晶(2.7)、トパーズ(3.53)でありトパーズが1.3倍重いので、発見した石が大きければ持った感触が違います。
結晶の形(結晶構造)については、水晶が六角形(六方晶系)であるのに対してトパーズがひし形(斜方晶系)になります。
モース硬度は水晶(7)に対してトパーズ(8)であり、トパーズの方が硬くて加工しにくい石になります。
屈折率は水晶が1.543~1.554に対してトパーズが1.619~1.627であり、トパーズのほうが光をより曲げるのでよりキラキラ見えるようです。
このような単結晶が含まれている石は、見た目にも美しく輝いて、宝石としても大変貴重です。
結晶には固有振動数(あるいは波動)があり、周り物質の形や波動と共鳴する力があります(例えば、天然石が発する音を聞いてみてください、天然石が発する波動があなたの耳に響きます)。結晶が明確に判別できる天然石を見つけたあなたは幸運です。
宝石探しの遊び場を飛び出して、日本の各地に鉱石が含まれる地層や地域(山、川、海)があるので、準備とトレーニングをして出かけてみましょう。実際に採取した鉱石やその場所が整理されていたり、愛好家の人たちが発見した天然石を紹介しているので参考にするとよいでしょう。

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宝石探しの遊び場で発見したあなたの天然石は、もっと魅惑に満ちた外観と中身を持っていると思われます。その素性を知るために、こちらのページに進んでみて下さい。