結晶の大きさからの鉱物のぶんるい

あなたが発見した石について、化学組成、結晶構造などから決まる石の性質をよく知った上で石の種類を調べていきます。ただし、遊び場などで見つけた石で性質が判別できるぐらい大きな結晶を含む石は少ないのです。宝石探しの遊び場で発見する石は酸化珪素(SiO2)を主成分とする石英の仲間(石英グループ)となりますので、その性質や構造を具体的に紐解いていきます。
酸化珪素(SiO2)の結晶を含む石英グループは、その結晶の大きさとその構成の特徴によって分類されます。

ぶんるい結晶の大きさ石英グループ内の鉱物名称・総称
顕晶質
(けんしょうしつ)
大きい水晶、石英(共にクォーツ:Quartz)
潜晶質
(せんしょうしつ)
小さい:
光学的にはない、
弱いX線回折
カルセドニー(chalcedony)
アゲート(agate)ジャスパー(jaspar)
非晶質
(ひしょうしつ)
ないオブシディアン(Obsidian)
テクタイト(tektite)、
<人工>溶練水晶(fused quartz)、
<人工>石英ガラスファイバ(quartz glass fiber)

カルセドニーは玉髄(ぎょくずい)と呼ばれ、石英の非常に細かい結晶が網目状に集まり、緻密に固まった鉱物です。色によって名称が異なります。

  • 紅玉髄(べにぎょくずい、カーネリアン):全体が赤色のもの
  • 緑玉髄(りょくぎょくずい、クリソプレーズ):緑色のもの

アゲートは瑪瑙(メノウ)と呼ばれ、石英だけでなくオパールなどの化学組成が、火成岩あるいは堆積岩の空洞中に層状に沈殿してできた、縞状の模様のある鉱物です。
ジャスパーの和名は碧玉(へきぎょく)であり、微細な石英の結晶が集まってできた鉱物です。酸化鉄や水酸化鉄などの不純物が混入しているため不透明で、不純物の違いによって、紅色・緑色・黄色・褐色など様々な色や模様のものがあります。色によって名称が異なります。

  • 赤碧玉(せきへきぎょく、レッドジャスパー、red jasper
  • 緑碧玉(りょくへきぎょく、グリーンジャスパー、green jasper)
  • 黄碧玉(おうへきぎょく、イエロージャスパー、yellow jasper)
  • 血碧玉または血石(けつえきぎょくorけつせき、ブラッドストーン、blood stone)
  • オビキュラージャスパー(orbicular jasper)

ジャスパーはカルセドニーやアゲートより不純物を多く含んでいるとされます。不純物を含んだ石英は種類が多く、それゆえにいろいろな呼び方があります。例えば碧玉のうち斑点状に赤色が混じっているものをブラッドストーンと呼んでいます。このように天然石の名前としては、鉱物学の名称だけでなく宝石の名称や俗称などが入り交じって使われています。

ここまで見てきたように、化学組成と結晶の大きさにより鉱物を分類した結果を整理したものが次の表になります。

この中でオパール(opal)は、和名では蛋白石(たんぱくせき)と呼ばれます。化学組成は SiO2・n(H2O)で、成分中に10%ぐらいまでの水分を含んでいます。非晶質である「opal-A」と潜晶質の「opal-CT」があり石英グループの鉱石の仲間です。

石英グループの鉱石ぶんるい整理(出所>「石の雑学」より)